正社員、契約社員、派遣社員、パート社員の違いは?仕事内容やメリット・デメリットを比較

更新日:2024.03.27

正社員、契約社員、契約社員の違いは?のイメージ

更新日:2024.03.27

正社員、契約社員、派遣社員など雇用形態はさまざまありますが、それぞれの違いとは何でしょうか? 長いキャリアの中で、自分にあった働き方を選ぶために、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。

今回は正社員、契約社員、派遣社員、パート社員それぞれの仕事内容や法律上の違い、給料、待遇などメリット・デメリットを徹底比較します。

転職にあたって、自分に合った雇用形態を選びたい方はぜひ参考にしてくださいね。

監修者:伊藤 泰子
監修キャリアアドバイザー
「type転職エージェント」のエキスパートキャリアアドバイザーとして、10年以上にわたり8,000名を超える転職希望者のキャリアサポートを行ってきた。転職活動を「客観的に自分を見つめるチャンス」と定義し、現在ではIT領域の転職希望者に対して「納得感のある転職成功」の実現に向けたキャリアプランを提案し続けている。

正社員とは

正社員のイメージ

正社員は、就業期間の定めのない無期雇用の働き方です。本人が自ら辞めると言わないかぎり、基本的には定年までその会社に勤め続けることができます。刑事事件を起こしたり、公序良俗に反することをした場合などは、社内規定にしたがって解雇される場合もありますが、そうした正当な理由がなければ、企業は定年まで雇う義務が生じます。

常にその企業の従業員として働き、長期的な雇用を前提とするため、会社のコアな業務を担当することが一般的です。

契約社員とは

契約社員のイメージ

契約社員は、就業期間が決められている有期雇用の働き方です。契約期間は法律による規定はなく、企業がそれぞれ独自に決めることができます。半年または、一年というケースが多く、その都度、契約更新について企業から申し渡しがなされます。更新タイミングの少なくとも1カ月前には、企業・個人双方とも意思表示をするケースがほとんどです。ただし、これも法律で定められているわけではありません。

契約次第で柔軟な勤務時間や働き方ができる場合があり、家庭と仕事のバランスをとりやすい、スキルや成果を出しやすいなどメリットも多いです。企業側には、景気の変動や会社の業績に合わせて人員調整ができるメリットがあります。

派遣社員とは

派遣社員のイメージ

派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結ぶ有期雇用の働き方です。雇用期間は、派遣会社・個人・派遣先企業それぞれの都合や事情によって柔軟に決めることができます。一般的には、短期のプロジェクトや一時的な業務をカバーするため数週間~数カ月と短期間のことが多いですが、半年以上の長期に及ぶ契約もあります。

派遣先との契約期間が終了した場合も、基本的には所属している派遣会社が次の就業先を探してくれますが、契約期間が短いことや雇用の安定性に関して不安定な側面もあると言われています。

日本では近年、労働者派遣法の改正など、非正規雇用労働者の待遇改善や安定化を図る法改正が進められています。これにより、派遣社員やパート社員の待遇向上が進む可能性があります。

パート社員とは

派遣社員のイメージ

週の労働時間が20〜30時間未満と短めに想定されているのがパートタイム社員です。勤務する企業に直接雇用される形態ですが、社会保険の適用範囲や福利厚生、給与に違いがあります。

シフト制で働く場合が多く、自分の都合に合わせて労働時間を決められるメリットがあります。家庭や他のことを優先させて、少しの時間だけ働きたい人にとって有益な選択肢と言えるでしょう。

正社員、契約社員、派遣社員、パート社員の違い

正社員、契約社員、派遣社員の違いのイメージ

正社員は期間の定めのない無期雇用であるという点が、その他の雇用形態と大きく違う点です。契約社員、派遣社員、パート社員は、雇用期間に定めのある有期雇用です。

また正社員、契約社員、パート社員は、雇用される企業と直接雇用契約を結びますが、派遣社員は、派遣元である派遣会社と雇用契約を結びます。

非正規雇用である契約社員、派遣社員は、企業の業績によって契約更新されないリスクがある反面、短期間で自分のキャリアを見直したり、より良い仕事先が見つかった場合にすぐ転職できるというメリットもあります。

パート社員は他の雇用形態と比べ、一週間の労働時間が短いのが大きな違いです。シフト制で働く場合が多いため、労働時間と勤務時間帯を自分でコントロールしやすいのが特徴です。

正社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

仕事内容

正社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

正社員は、大きな裁量を持って仕事をすることができます。組織の一員として責任ある仕事をたくさん経験し、スキルアップ、キャリアアップをしていくことが可能です。

正社員であれば異動や転勤の可能性もあります。職種や部署が変わることで、新しい業務やプロジェクトなどさまざまな経験を積むことができます。異動希望を出して会社内でジョブチェンジをすることもできるでしょう。

給料

定期的な給与を受け取ることができるため安定した収入が期待できます。ボーナスや業績賞与の対象になること、昇給のチャンスがあることから、勤続年数を重ねると、しっかり年収を上げていくことができます。

福利厚生、年次有給休暇なども付与されるので、給与額以上に得られるものがあるのも正社員ならではです。

メリット

雇用期間の心配をすることなく、安定した働き方ができます。福利厚生や諸手当、制度をすべて活用できるので、抜群の安心感があると言えるでしょう。幅広い業務に携わるチャンスもあるため、スキルアップやキャリアアップ転職も狙いやすいです。

デメリット

仕事の範囲が明確に決まっているわけではなく、「いろいろなことに挑戦してほしい」「どんどん成長してほしい」と期待されるのが正社員です。評価査定では個人の業績だけでなく、組織への貢献度も重視されることも多いです。結果、仕事量が増えがちな傾向にあります。

裁量が大きい分、責任も重くなります。他の雇用形態と比べて、仕事上のプレッシャーが大きい点がデメリットと言えるかもしれません。

契約社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

仕事内容

契約社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

プロジェクト単位や特定の業務に従事する場合が多いです。契約時点で仕事の範囲を決めるため、どこまでが自分の仕事かある程度明確になっています。その範囲内で、しっかり成果を出すことが求められますが、正社員より責任は軽減される場合が多いでしょう。

転職で契約社員として採用されるケースは概ね次の3パターンに分かれます。一つ目は、そもそも契約社員ポジションでしか採用していない場合。二つ目は、同年代の既存社員に比べて経験値やスキルが不足しているため、待遇に差を付ける必要がある場合。三つめは、重い責務を担ってもらう前の助走期間と捉え、一定期間経過後に正社員に登用する想定をしている場合です。

企業によっては、中途採用はすべて契約社員で、2年目以降に正社員に登用するか検討するという方式で中途採用を行っていることもあります。

給料

契約に基づいて給与が支払われます。そのため、ボーナスの支給対象になるかや福利厚生が正社員と差があるかなどは、企業の定めによります。正社員と同じようにボーナスや業績給の評価対象である場合もあれば、一律で支給対象とならない場合もあります。

また、ボーナスの支給対象ではないけれど、半年分の年俸を7分割して、ボーナス時期に2か月分が支払われるというケースもあります。

一般的には、契約社員は正社員よりも年収が低いイメージが強いですが、専門性が高い職種や、高度なスキルを持っている場合は、そうとも限りません。例えば、「スキルに見合った給料を払うには正社員だと部長になってもらわないといけない。でもこの人に期待するのは部長としての働きではない」といった場合、契約社員として契約を結ぶことで、正社員の就業規則にとどまらない高い賃金を支払うことが可能になります。営業のプロフェッショナルやゲーム開発者など専門性の高い職種では、あえて契約社員で働く方が年収が上がるケースもあるということです。

メリット

契約期間や条件が明確なため、自分の働き方やキャリアの方向性を柔軟に調整できます。一定の期間の後、新たな契約を交渉したり、別の機会を探したりできる点で、選択のタイミングを多く持てるのがメリットです。業務範囲も決まっているため、得意なことや今持っているスキルを活かして働くことができます。正社員のように会社都合で異動になることもほとんどないので、苦手なことを克服しなくてはいけないといったストレスも少ないでしょう。

また、企業の中には「最初から正社員で雇用すると本人への負担がかかるから、最初は契約社員で入社してもらい、正社員レベルで実績を出せると判断したら正社員として登用したい」という考えの企業もあります。最初から負荷をかけすぎず、自分が持っているスキルで活躍できるという点が契約社員として中途入社するメリットでしょう。

他には、正社員へのなりやすさでは、派遣社員やパート社員と比べて可能性が高いです。労働契約法では、同じ会社で通算5年以上働いた場合に無期雇用に転換できる制度が定められています。企業によっては「3年間働いたら、全員正社員登用する」と定めているケースもあります。もちろん、必ず正社員になれるわけではないので、気になる方は事前に正社員登用の条件を確認しておきましょう。

デメリット

正社員より給料が下がってしまうことは考えられます。福利厚生などの制度についても、すべて利用できない場合も多いです。退職金がない、あるいは金額が少ないこともあります。

たとえどれだけ能力が評価されていても、景気や企業の経営状況が悪化した時は、まず契約社員から人員整理の対象となることが多いとも言えます。実際、リーマンショックの際は、たくさんの契約社員が更新ストップとなりました。

雇用期限が来たら契約更新をしないと言われるケースもあることは、有期雇用という働き方のデメリットとして念頭に置いておく必要があります。

派遣社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

仕事内容

派遣社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

所属している派遣会社から企業に派遣され、契約内容に定められた固定の業務を行います。勤務が始まる前に、派遣会社と就業先企業とで業務範囲を含めた契約を結ぶため、業務内容は明確に決まっているのが特徴です。

また、自分の持っているスキルや得意分野をふまえて人材派遣会社に登録しているため、能力を超えた業務を依頼されることはほとんどありません。

給料

勤務している企業ではなく、所属している派遣会社から給与が支払われます。時給換算で支払われますが、その単価は仕事内容によって大きく異なります。一般的には1,000~2,000円が相場と言われていますが、プロジェクトマネジメントや通訳といった「スペシャリスト」であれば、時給3,000~4,000円になる場合も。

契約外の勤務をした場合は、残業代が加算されますが、正社員と比べると福利厚生が少ないことがあります。

メリット

仕事の範囲が明確に決められているので、決まった仕事以外の業務をする必要がありません。契約と違う仕事を振られそうになっても、派遣会社が間に入って交渉してくれるので、安心して働くことができます。

決められた仕事に対して成果を出していれば、職場とはある程度ドライな割り切った関係でいられます。希望の派遣期間を伝えられるので、短期間働いて、契約期間が終わった後に長期の旅行・留学をしたり、自分の好きなことに打ち込んだりする人もいます。契約期間をきっかけに辞めやすいため、自分のやりたいことやプライベートを重視しながら、計画的に人生設計ができるというメリットがあります。

デメリット

自分の意志とは関係なく、契約が更新されない場合も大いにあるので注意が必要です。派遣先との契約期間が終了した場合も、基本的には所属している派遣会社が次の就業先を探してくれますが、契約期間が短いことや雇用の安定性に関して不安定な側面もあると言われています。

パート社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

仕事内容

パート社員の仕事内容、給料、メリット・デメリット

他の社員と同様の業務の「一部」を担当しますが、時間や週の労働時間が短いことが特徴です。

給料

時間や労働量に基づいて支払われる時給や日給で給与が支払われます。正社員よりも福利厚生は少ないことが多いです。

メリット

自分のライフスタイルに合わせて労働時間、勤務時間帯をコントロールしやすいのがメリットです。

デメリット

正社員と比べ、給与や福利厚生などの労働条件が不利であること、社会保険の適用範囲が狭かったり、給与水準が低い、キャリアアップの機会が少ないといったデメリットがあります。

労働契約法の改正・無期契約社員とは?

労働契約法の改正・無期契約社員とは?

2013年4月1日に改正された労働契約法で、有期雇用の契約社員は、5年間更新し続けた場合、無期雇用化について検討しなければならなくなりました。企業が契約社員を「無期雇用化」の検討をする際には、正社員登用以外に次の4つの選択肢があると考えられます。

  • ① 有期契約5年を超えないように雇用を終了する
  • ② 子会社などグループ会社に転籍という形で、新たに契約を結び直す
  • ③ 給料や条件面、待遇はそのままに、「無期契約社員」とする
  • ④ エリア社員など限定正社員化する

法律で定められているのは、「有期雇用を辞めて、無期雇用にする」ということだけのため、企業側の対応として、給料や福利厚生、退職金などの条件面は契約社員の時のまま、無期雇用にするという「無期契約社員」にするケースが増えています。企業としてもまだ新しい法律にどのように対応したらいいか決めかねている部分があり、暫定的にこのように対応していることもあるようです。

5年間契約更新を続けた後、正式に契約社員から正社員登用するかどうかは、あくまでも企業のモラルや姿勢に委ねられている状態。契約社員経験者の多くは、5年を迎える前に自ら転職活動をはじめているようです。

契約社員で入社した後に正社員登用を目指す場合は、まずは正社員登用の条件や、どれぐらいの人が登用されているのかという実績をしっかり確認してみることが重要です。

まとめ

それぞれの雇用形態は異なる特徴を持っているので、雇用条件や求められる業務内容をよく理解しておくことが大切です。「どれが有利なのか」と考えてしまいがちですが、どの雇用形態にもメリット・デメリットはあります。ライフイベントや自分の状況、数年先の家族の状態に合わせて、柔軟に雇用形態を選択しましょう。

転職する際は、自分に合った雇用形態を選び、与えられた環境で精一杯成果を出していきたいですね。

type女性の転職エージェントでは、 女性向け個別転職相談会・セミナーを実施しています。女性の転職支援の経験が豊富なキャリアアドバイザーに、転職の悩みやキャリアをご相談ください。転職のスペシャリストであるキャリアアドバイザーが無料で1対1の相談を承ります。

人気記事ランキング
Page Topへ